住職あいさつ

善男善女の皆様、こんにちわ

 当山の歴史は古く、平安時代まで遡ります。ご本尊である聖観世音菩薩さまは、慈覚大師円仁さまの一刀三礼の作であり、その優しき微笑は1千年の時を超え、今に語り継がれています。
 しかし、その微笑みが今に至るには、様々な苦難を乗り越えねばいけませんでした。
 戦国時代には、横手の小野寺氏と大宝寺の武藤氏、山形の最上氏による戦乱が続き何度も領主が変わり、当山は一時衰退しました。
 近世に入ると藩主である戸沢氏に崇敬され、寛文11年(1671)に対岸から現在地に遷座 し、延宝4年(1676)に現在のお堂が落成しました。
 明治維新のときは、廃仏稀釈(はいぶつきしゃく)の法難により出羽三山より伝わった山岳信仰は、衰退の憂き目に遭いました。
 大東亜戦争(太平洋戦争)の時は、国策のもと、寺院にあった梵鐘等が接収され、戦後は農地改革により、土地を没収されました。
 ですが、これらの法難の度に、み仏のお力と、ご信徒の篤き信心が一体となり、乗り越えてきました。
 どんな人間も1人で生きていくことは出来ません。互いに手を取り合い、助け合うことで、俗世の荒波の中を進むことが出来るのです。その時の感謝の気持ちを、忘れてはいけません。「皆様のおかげさま」で私達は前に進むことが出来るのです。
 当寺院を訪れると、まずはじめに「おかげざま門」があなたをお出迎えします。この門は、「今を生きることが出来るのは、皆様のおかげさま」という感謝の意味が込められています。この門をくぐるときは、合掌し、大きな声で「おかげさま」と言い、頭を下げてくぐりましょう。
 境内には、古来より私達を見守ってくださった沢山の仏さまがあなたさまをお迎えします。周りの人々に感謝し、それを教えてくれるお仏に感謝し、信心を深めましょう。
 そして、頭を垂れる稲穂のように、あなたさまの人生が実り多きものとなれば、仏さまも信徒一同も、これほどうれしきことはありません。
 美しき山水に心を清めながら、観音さまとご縁を結びに、是非にご来山ください。

 合掌    平成25年10月吉日  庭月山蔵院 住職 庭崎 賢恵